中国語辞典レビュー:第二回《成语通检词典》中华书局
はじめに:
筆者は中国語学習歴4年のいわゆる初学者であり、ここに挙げる内容はあくまで個人的な感想であり必ずしも正確ではないことをご理解願います。
中国語に慣れてくると色々な成語、ことわざに出会い、調べるのに苦労することがあるだろう。あるいは作文をするのに成語で格好つけたいなんてこともきっと多いはず。そんな時に使いたいのが成語辞典。
本書は中国語で書かれているため初心者には少し難しいかもしれない。
収録成語は9592条。なお実際には、“'拭目而待'は’拭目以待‘を見ろ”という(いわゆる近義、類義)のがかなり多いのでもう少し少なめともいえる。
それ以外の成語にはすべて出典が書かれており、本義と引申義(派生義)ともに確認ができる。出典以外の例文はほとんどない。
並びはピンインアルファベット順。
.........と、ここまではよくある成語辞典と同じだが、本書の特徴はその索引にある。
たとえば《中华成语熟语辞海》学苑出版社や《中国俗语大辞典》上海辞书出版社での索引は首字のピンインと画数である。
対して本書では以上の二種のほかに、任意字索引と意義索引が用意されている。
任意字索引は使われている字からの索引である。たとえば"蛇"の検索から"虎头蛇尾"にたどり着くことができる。
これは一見すると使い道のないように思われるかもしれない。だが、たとえばちょっとした作文の中で洒落た言い回しをしたいときには非常に便利である。
意義索引では6編30類362項の区分が用意されており、場面に合わせた検索が可能。作文時に大いに役立つ。
ここまで見てわかるように、本書は学習面に力を入れた成語辞典なのである。
なお、成語は数万あるとも言われ、さらに常用のものは非常に限られる。その意味では本書は日本人学生にとって明らかにオーバースペックである。
また9592条という数字からもわかるように、本書はあくまで中型レベルのものであり、内容は網羅的ではない。とはいえ、日本語だと5000条を超えるような成語辞典はかなり限られるので、持っておいて損はないと思う。
(日本語の成語辞典を軽く見てみると、意義索引、任意字索引を使っているのは北村亮介(2012)『成語へのアプローチ』風詠社があるが、収録数は852条と少し物足りない。数で言うなら牛島徳次編(1994)『中国語成語辞典』東方書店が約8500条収録している。このほか学習向けに約1000〜4000条程度の成語集が複数出ている。)
............個人的なことを言えば、筆者は作文時によく本書にお世話になっているが、ほとんど覚えていない。