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中国語辞典レビュー:第六回『現代中日辞典 増訂版』光生館

はじめに:

筆者は中国語学習歴4年のいわゆる初学者であり、ここに挙げる内容はあくまで個人的な感想であり必ずしも正確ではないことをご理解願います。

 

 

外国語を学んでいくうえで辞書を選ぶ重要な基準は様々ある。その一つは「携帯性」であろう。

『現代中日辞典 増訂版』光生館

 

本書は1600*950*350とかなり小さな辞書である。

 

しかしながら、増補改訂版では親文字約10000、語彙約65000と実用性から見ても十分な機能を有している。

 

一部の親字では、完全ではないものの、単独で使われる意義と複合語で使われる意義とを分けて表示している。この区別自体はかなり難しいものなのでなかなかあてにはできないが、十分参考になりうるものである。

 

一部の語では呉方言や広東方言、西北方言、江南方言、四川方言にまで対応しており、カバー範囲はかなり広い。

 

なお、最近の辞書とは違い品詞が書かれていない。ある程度慣れたものには問題ないだろうが、初学者には向かないだろう。

 

後半には日中同義複合語表、常用諺表、姓氏表、少数民族表、音訳固有名詞表、化学元素表、中日対照色彩名表、中国標準家屋図が用意されている。

 

さらに最後には第二次漢字簡化方案(草案)いわゆる「二簡字」の簡体字が一部載せられている。

 

日中同義複合語表はユニークなものといえる。日本語における漢字語と対照させる形で中国語複合語が羅列してあり、量的に網羅的とはいえないものの使いやすいものとなっている。

 

そもそも辞書自体が小規模なうえ、増訂版は1965年出版であり、古いものが紛れているなどどうしても物足りないところはあるが、ポケットサイズでこの付録の豊富さはかなりのものである。

 

全体的な難点としては、語法の分からない点にある。ほとんどの語に例文が付されていない。また載っている例文にも発音が付されておらず、わかりにくい。

 

付録の常用諺表にはそもそも発音が付されていない。本文中を探せば載ってはいるが、完全初見の場合発音がわからないこともあるため、少し不親切である。

 

また載っている情報も古い。出版年からして仕方がないともいえるが、少数民族表に載っているのは门巴族までで珞巴族、基诺族は載っていない。

 

総じて、中級者以上がポケット辞書感覚で持ち歩くには十分だが、初級者が使うには不親切である。

 

 

 

次回は石山福治編『最新支那語大辞典』 の予定です。